• テキストサイズ

グール

第2章 えんげ


今でもたまに、はっきりと思い出すのだ。



たとえば、女子高生の白い足に、青く血管が浮かんでしまっているのを見た時とか。

たとえば、ふと自分の胸元を見ると、服が心臓の鼓動にあわせて揺れているのに気づいたときとか。



猫はまだ、私の思い出の中で生きている。

片目であらぬ方を、もう片目で私をまっすぐ見つめた姿で、死体のままで、生きている。

そのときの空気のにおいすら、はっきり思い出せる。

猫の死体を撫でられなかった落胆も、先生が口を酸っぱくしていう「命」の呆気なさに対する失望も、それを知られた高揚も、あの時のままで私の中にある。
/ 3ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp