第1章 ++ガラスの青い鳥++
恥ずかしそうに顔を俯かせるシャムロックの前に、少女は音もなく歩み寄る。その素早い身のこなしに、シャムロックの対応が遅れた。
少女の冷たい指が、男の頬に伸びる。
「自信を持って、シャムロック」
あなたは自分で思うほどくすぶっちゃいない。
あなたは気付いて居なかったけれど、私はあなたが騎士見習いの時から、あなたの秘めたる輝きに気付いていた。
「…キミは、いったい…?」
漆黒の瞳にのぞき込まれて、シャムロックの声が裏返る。
「今度はあなたが、私を照らしてみてよ」
私はずっとここにいる──。
そう言って、少女はシャムロックの手のひらに小さなガラス細工を渡した。
「記念にあげる。あなたが私を見つけてくれた記念に」
もちろんお代はいらないよ。
「あ、ありがとう…キミの名前はなんて言うんだ?」
問い掛けるシャムロックの耳に、件の人物の声が聞こえた。シャムロックは慌てて振り返る。