第1章 ++ガラスの青い鳥++
少女の呟きにシャムロックは思わず目を見開いた。
この少女は、会ったこともない王子の気持ちがわかるのか。──自分でさえも理解しきれない親友の心が理解できると言うのか。
ぐるぐると思考が渦巻き、険しい顔になっていくシャムロックの表情に、少女は淡々と推測を口にした。
「で、あなたは親友を連れ戻すように言われた。どう?当たらずとも遠からずでしょ?」
「…ほぼ正解だよ」
シャムロックは、降参だと言わんばかりに肩を竦めてみせる。
「あなたはその友達をどうしたいの?」
問い掛けに、しばし沈黙するシャムロック。
わたしは彼の辛さが分からない。
生まれた境遇は確かに自由は利かないけれど、役目があって国民の期待を一身に受けている。
(必要とされる存在なのに、何故自らそれを捨てようとするのだろう…)
シャムロックは人知れず、没個性で光らない自分自身に嫌気がさしていた。