第1章 ++ガラスの青い鳥++
今まで真面目にやってきた。がその反面堅物扱いされ、面白味のない人間になってしまった。
高貴な身分でも愛嬌があって、誰からも好かれる、常に皆の中心にいる親友が羨ましい──シャムロックは王子の心境を理解するばかりか、実のところ羨んでいたのだ。
「…親友の味方をしたいけど、それで自分の評価が下がるのは嫌ってところかな?」
黙り込んでしまった騎士に、少女はゆっくりと言葉を投げかける。
「…突き詰めて言うと、結局そうなんだろうね」
兎にも角にも、騎士としての初任務なのだ。泥を塗りたくないと、誰もが思うはずである。
「あたしは、無理だと思うけどな」
飛び立とうとする鳥の翼を手折ってまで引き留める事は無理だと思う。だってあなたは優しいから。
「それに一度大空に飛び立って、世間の辛さと自分の責任の重さを知ると良いよ」
「…一種の勉強と言うことか」
「馬鹿に付ける薬は無いとも言うけどね」
一国の王子に向かって毒を吐くその顔は、清々しいまでに飄々としていた。