第1章 ++ガラスの青い鳥++
しかし独りで悩んでいても状況を打破出来るとは思えず、実際の少女の営業妨害をしてしまったのだから、当たり障りの無いところで話してみるかと口を開いた。
「わたしの友達がね、家出をしてしまって。どうやら窮屈な生活と、決められたら将来に嫌気がさしているらしいんだ」
「ふーん」
少女は手のひらに緑色のガラス玉を転がしながら、ふと顔を上げてシャムロックの茶色い瞳を見つめた。
「それってフォルディエンド王子の事?」
「…何でそれを…っ」
「いや、普通に考えれば分かると思うけど」
あなた、聖王家とゆかりの深いトライドラ騎士でしょ?
あなたが言った友達の境遇と年の頃を考慮して、思い当たる王族は第一王子しかいないと思っただけ。
「…参ったな…」
「お兄さんの反応も、推理の裏付けとなってる訳だけど」
言われて、シャムロックは深くうなだれた。
「お兄さんは正直者なんだね」
少女はクスリと笑う。
そして吹きそよぐ風に髪を押さえて、零れる日差しを見上げて溜め息をついた。
「籠鳥雲を恋う──何だかわかるなぁ」