第7章 十人十色
黄瀬「俺、るりっちの事大好きっス。」
るり「え?」
黄瀬「中学の時からずっと好きだったっス。でも、今はそれよりずっとずっと好きっス。」
黄瀬くんが私を抱きしめる腕の力がさっきより強くなった。
るり「…あの、黄瀬くん?私っ、」
黄瀬「何も言わなくていいっス。」
るり「!?」
黄瀬「今は何も言わなくていいっス。るりっちが俺の事好きじゃなくてもいいから…」
黄瀬くんの体は少し小刻みに震えていた。
抱きしめられていて表情は全く見えない。
でも、分かった。
黄瀬「今だけ、抱きしめてくれないっスか…?」
声がいつもより震えている。
黄瀬くんは多分泣いているのだと。
るり「・・・。」
"ギュッ"
私は強く黄瀬くんを抱きしめ返した。
黄瀬「…ありがとう。」
黄瀬くんのことを好きかどうかなんてわからない。
でも、今は…。
彼のことがただ愛しくてたまらなかった。
黄瀬くんはいつもキラキラ光っていて。
眩しくて。暖かくて。
そんな黄瀬くんはずっと私の憧れだった。