第38章 変化していく日常。
体育館近くの水道場まで来ると、
赤司くんは足を止めた。
るり「赤司くん?」
赤司くんは水道から水を出すと、
顔を洗い始めた。
私はすかさず、
バックからタオルを出すと、
赤司くんに手渡した。
赤司「…ん。ありがとう。」
そう言ってニコっと笑う顔は
いつもの赤司くんだった。
るり「あの、私聞きたいことがあって…」
赤司「なんだ?」
るり「あの…私、今日赤司くんに失礼な事をしてしまったでしょうか…?」
私がそう聞くと、
赤司くんは考えるようにうつむいた。
赤司「心当たりがないが、なぜそんな事を聞くんだ?」
赤司くんは不思議そうな顔をして
私を見た。
るり「いえ…えっと…なんとなく…です。」
赤司「…君は変な奴だな。」
そういうと、赤司くんはクスクスと笑った。
赤司「るり。」
るり「…?」
赤司「 」
その時赤司くんは確かに何かを言った。
でも、その声は小さくて…
突然吹いた強い風の音によって
かき消された。
るり「え?ごめん、今なんて言いましたか?」
私が尋ねても
赤司くんは寂し気に笑うだけだった。