第38章 変化していく日常。
ギャラリー席には、
初老の男性がニコニコとしながら
コートの練習風景を眺めていた。
たまに見かける人だ。
私はそう思いながら掃除を始めた。
ふと、その男性と目が合ったので
私は会釈をする。
男性もニコニコとしたまま会釈をし返してくれた。
男性「お嬢さん。君はここのマネージャーさんかな?」
るり「は、はい!」
男性「そうかぁ。最近選手達の様子はどうだね?」
私は男性の隣に立ち、
一緒にコートを見下ろす。
るり「はい!皆さんとても頑張っています!」
男性「そうかそうか。よかった。…でも生ぬるいとは思わないか?」
男性はニコニコとしたままそう言った。
るり「…生ぬるい…ですか?」
男性「あぁ。彼らはもっと成長する。そんな彼らにはまだまだ生ぬるいよ。」
るり「…。」
この人は何なんだろう…
そう思ったのをよく覚えている。
その男性が
帝光中バスケ部の監督だという事を知ったのは
しばらく後のことだった…。