第37章 永遠の憧れ。
黄瀬「病み上がりだし…じゃなくて、作業遅いから迷惑なんスよね?」
黄瀬くんが笑顔で先輩を見た。
先輩「…っな!そ、そんな事言ってない!」
黄瀬「じゃぁ、任せていいんじゃないっスか。わざわざ先生に頼まれたおつかいそっちのけてまでやる事っスか?」
先輩「…う。でも…るりちゃん大変そうだし…。」
黄瀬「つまり、同情っスね!あぁ!可哀想っスもんね!この人。」
黄瀬くんは私の方を指差してそう言った。
るり「…。」
私は気にしないふりをしながら
一生懸命ストップウォッチをかき集めていた。
先輩「…っな!!黄瀬くん!何でそういう事言うかな!?最低っ!」
先輩が黄瀬くんを睨みつけた。
黄瀬「でも、今先輩達がしてる事ってそういう事っスよね。大変そうだから仕事を与えない。それって可哀想って言ってるようなもんじゃないっスか。」
先輩「…っ。」
何やらピリっとした空気が流れる。
るり「あ、あの、えっと、ありがとうございます!」
私はストップウォッチを集めると、
カゴに入れて持ち上げた。
先輩「へ?」
るり「あの、えっと…先輩達のお気遣いすごく嬉しいです!でも…一人で頑張ってみます!」
先輩「…ごめんね。困ったらすぐ言ってね。」
そう言って先輩はその場を後にした。
私は黄瀬くんの方を向きなおし、
黄瀬くんにも頭を下げた。
るり「あの、ありがとうございました。」
勢いよく頭を下げすぎて、
カゴにいれたストップウォッチが
勢いよくカゴから飛び出した。
るり「あ。」
黄瀬「うぉ!?ちょっと!何やってんスか!」