第29章 過去②~帝光中学~
それからしばらく何事もなく私は過ごしていた。
部活にはすっかり馴染んだ。
でも、教室で私に話しかけてくれる人は居なくなった。
バスケ部の友達は明らかに私を避けるようになった。
長い間入院していた私には
話しかけ辛いのか、バスケ部以外の子も話しかけてはくれなかった。
いつも教室では一人で、
憂鬱でたまらなかった。
そんなある日の昼休み、赤司くんが教室にやって来た。
赤司「るり。」
るり「あ、お疲れ様です。」
私は赤司くんに会釈をした。
赤司「今すぐ弁当を持て。」
そう言って赤司くんは私の手を掴んだ。
るり「え?あの…何故ですか?」
赤司「決まっているだろう。屋上で一緒にご飯を食べるんだ。」
そう言って赤司くんは優しく笑った。
ずっと一人だったので、
嬉しくてたまらなかった。
るり「はい!」
私はすぐにお弁当を持ち、
赤司くんに手を引かれるまま屋上へ向かった。
屋上にはキセキの世代のみんなが居た。
黄瀬「キャプテン遅いっスよぉー!あ、るりちゃん!お疲れっス!」
紫原「あ、るりちんだぁー♪」
紫原くんは嬉しそうに手を振ってくれた。
桃井「わぁ!今日はいつもより大人数ですね!」
青峰「腹減ったぁー。さっさと食おうぜぇ」
黒子「そうですね。」
緑間「む。おしるこ買い忘れたのだよ。」
赤司「ほら、るり。こっちにおいで。」
私は言われるままに赤司くんの隣に座った。
そして、みんなでお弁当を食べた。
なんだかすごく楽しくて、
すごく幸せだった。
こんな時間がずっと続けばいいのにと
そう思っていた。