第28章 過去~帝光中学~
小学校を卒業し、慣れ親しんだ土地を離れた。
私達家族は新しい土地へと引っ越した。
私は中学校へ入学する事が不安でならなかった。
だって、小学校から一緒の友達なんていないし、
友達が出来なかったら…なんて考えると不安でたまらなかった。
入学式当日。
母に背中を押され踏み入れた新しい学校は
不安からか霞んで見えた。
教室に入ると友達と話し、
楽しそうに笑う声で溢れていた。
私はただただ怖くて不安で
ずっとうつむいていた。
「ねぇねぇ、名前、なんていうの?」
ふと声を掛けられ
私は顔をあげた。
目の前の女の子は私と目が合うとにっこりと笑った。
るり「神谷るり…。」
「るりちゃん?私、河西美雪(かさい みゆき)っていうの!よろしくね!」
美雪ちゃんは私に手を差し出してきた。
るり「あ…よろしくね!」
私はその手を取り、ニコっと笑った。
帝光中学で
この土地で
はじめてできたお友達だった。