第23章 季節外れの蝉
るり「先週までちょっと暖かかったから勘違いしちゃったのかな?」
青峰「さぁな。蝉のことなんて知らねぇよ。」
るり「でも、なんか可哀想だよね。」
青峰「あ?なんでだよ?」
青峰くんはワケがわからないというような顔をした。
るり「だってさ、蝉って地中で7年間ぐらい過ごすんでしょ?それでやっと地上に出たら7日間しか生きれないんだよ?」
青峰「おう。それはこいつに限った事じゃないだろ。蝉の運命だよ。」
るり「でも、この子はやっと地上に出てきたのに仲間に一度も出会えないまま死んじゃうかもしれないんだよ?それって寂しくない?こんなに一生懸命鳴いてるのに。」
青峰「・・・・。」
るり「まぁ、仕方ないのかな。これがこの子の運命なのかなぁ」
蝉はミーンミーンと鳴き続ける。
その姿がこの寒い季節だからか何だか哀愁漂って見えた。
青峰「おい、ちょっと来い。」
るり「えぇ!?何!?どこ行くの!?」
青峰くんは私の腕を掴んで走りはじめた。
青峰「俺ん家に行くんだよ!」
るり「えぇ!?」
私は引っ張られるままに走りだした。