第23章 季節外れの蝉
もうすっかり外は寒くなった。
あの鬱陶しいぐらいジリジリとした暑さも
いやーになるぐらい蒸される体育館も
もうすっかり忘れかけていた。
そして、あの五月蝿い蝉も
"ミーンミーン"
…えぇ!?まだいたの!?
私は驚愕して上を見上げた。
この寒い中、電柱にとまり一生懸命にミンミンと鳴いてる蝉が一匹。
るり「ありゃりゃ、時期間違えちゃったかな?」
私は蝉を見つめながら歩いていた。
"ドン"
るり「うわぁ!?」
「いってぇー…」
余所見をしていて誰かとぶつかってしまったようだ。
るり「あ、すいませ…あれ?」
「あぶねぇだろ!どこみて…あ?」
そこには青い髪に真っ黒に日焼けした肌。
目つきの悪い高校生。
るり「青峰くん!?」
青峰「あ?るりじゃねぇか。ったく、余所見して歩くなタコッ!」
そう言って青峰くんは私の頭を軽くゲンコツした。
るり「えぇ!?青峰くんこそ!」
青峰「あぁ!?俺はあいつが気になって…」
青峰くんは先ほどの蝉を指差した。
蝉はまだ一生懸命に鳴いている。
るり「あぁ、季節外れの蝉さんね。私も見てた。」
青峰「・・・・。」