第12章 暗闇
小さい頃から両親は忙しくて
気がつくといつも一人だった。
私が上手にお留守番できると
「るりちゃんはえらいね。お利口さんだね。」と褒めてもらえるのが嬉しかった。
でも、いつしかソレは当たり前のことになり、
褒めてはもらえなくなった。
また何かを出来るようになるたびに
母や父は褒めてくれた。
気がつけば大体の事が一人で出来るようになっていた。
一人の時間はひたすら勉強した。
一人の時間はひたすら何かを練習した。
全部全部、両親に褒めてほしくて。
学校に入ってからも友達に喜んでもらえるように
褒めてもらえるように自分なりに頑張ったつもりだった。
「お前なんか嫌いだ。」
「お前はいらない奴だ。」
誰かにそう言われるのではないかという恐怖に
毎日襲われていた。
家でもいい子に
外でもいい子に…。
なんだか…とても窮屈だった。
他人に行なう善意。
それは自分自身のためなんじゃないのか?
そんな風にいつしか自分自身を
冷めた目でみていた。