第16章 Christmas date
心の中は恐怖でいっぱいになりながら、席に座る。
映画の予告やCMが終り、電気が消えていく。
スクリーンに映像が流れ始める。
私はスカートの裾をギュッと握り、内心ドキドキさせながら顔を前に向ける。
あれから何分か経った頃、スクリーンには井戸の映像が映る。
アレ……コレヤバくないですか?
長い髪の女の人が……こっちに向かってくる……
「キャーーーーーーー!!!!!!」
映画が終り、私と秀一は近くのファミレスでお昼を食べることにした。
でも、あんな恐い映画を見せられた私は当然へばっているわけで……。
「……………………。」
蔵馬「だから途中で出ようかって言ったのに」
「……だったら最初から別の映画にすればよかったじゃない。
それに、途中で出るなんて……怖がりだって思われて嫌っていうか…悔しいじゃない…」
蔵馬「クス、時音は本当に強がりで負けず嫌いだね」
「なっ何よ!!私、負けず嫌いなんかじゃないもん!!」
蔵馬「『もん』って、小学生じゃないんだから」
「うるさい!!秀一のバカァ!!」
と、またケンカが始まる。
だってしょうがないよ、秀一はわざと私を怖がらすようなことしたんだから!!
こっちの身にもなってほしいよ!
「そりゃ、秀一は怖いものなんてないんだろうけど…」
そうだ、何でも出来る蔵馬に怖いものなんて……
蔵馬「あるよ……」
「え?」
蔵馬「オレだって、怖いものくらいある」
ウソ…。蔵馬にも……?
「なっ、何よ?怖いものって…」
蔵馬「……キミがいなくなることだよ」
「……え」
……私、が…?
蔵馬「たまに考えてしまう。
もし、キミが危険な目にあったとき…オレがキミを守れなかったら…それでキミが、オレの側からいなくなったら…。
時音が側にいることが当たり前で、突然オレの側から消えてしまったら…そう考えると、怖いんだ。毎日が……」
「…………蔵馬」
知らなかった。
蔵馬がこんなにも私のこと、大切に想っていてくれたなんて……。
でも…それならどうしてあのとき…。
どうして麻弥のことも…。