第9章 交差した想い
~蔵馬side~
時音に声を掛けられ、オレたちはいま公園にいた。
この公園は、幼い頃によく二人で遊んだ公園だ。
時音はブランコの前までいくと、懐かしむように目を細めてゆっくりと言った。
時音「………小さい頃、よく遊んだよね……二人で…」
「…そうだね」
オレも懐かしむように公園を見渡す。
そして目線を時音に向けた。
時音はいまだにオレに背を向けたまま。
だが、数秒の沈黙を破ったのは時音だった。
時音「ビックリした?私が…九尾狐(時音)だったってこと…」
「………いや、何となく気づいていたよ…」
時音「………なら、どうして言ってくれなかったの?」
「……キミだという、確信が持てなかった」
時音「だからって、二年生のときから私のこと避けて…
私のこと嫌いだったんでしょ?」
「そんなことはっ」
時音「ないわけないよね…」
オレの否定を遮る時音。
でも違うんだ…。
オレがキミを嫌うわけないだろう…
オレが黙っていると、時音は寂しそうな声で続けた。
時音「私の正体、何となくでも気づいていたなら聞いてほしかった。
だって……魔界で最後に会った日に約束したでしょ……
覚えてる?」
「勿論、覚えているよ…」
忘れないわけがない。
オレにとってキミは…唯一無二な存在。
キミ以外の女がいるわけないんだ…。