第2章 すれ違い
TWO SHOTS編
私の名前は時音。
私は九尾の狐妖怪の緋神子一族の姫。
父は元人間で陰陽師。母は元々九尾狐で、緋神子一族の王妃。
勿論父もいまは妖怪で、緋神子一族の国王。
上に兄が二人いて、双子の弟と妹が二人ずついる。
私と母以外は妖怪が住む世界、魔界に住んでいて、私と母はいま、人間界に住んでいる。
そして私の式神、護法式の妖狐・燈と、守護獣で使役式の白狐・日和。
母の式神、葛の葉も一緒に住んでいる。
何故私が、人間界にいるのか。
それは、私が妖怪の頃に愛し合った人がいるから。
冷酷非道の極悪盗賊、銀髪の妖狐"蔵馬"
それが彼の名。
彼はいま、この人間界で"南野秀一"として生きている。
そして私は彼を追いかけ、いまは幼馴染みとして暮らしていた。
でも彼は……、私が九尾狐・時音だと気付いていない。