第6章 最悪の事態
本来の姿は竜と同じ程大きい。
赤い瞳に日本の尻尾をはやした白狐。
いまは呪術で手のりサイズの大きさだけど、人間の姿のいまの私の妖力では馬程の大きさが精一杯。
私は日和に乗り指示を出した。
「日和、八つ手の所へ行って!!」
日和〈キュー(了解)〉
日和は妖怪だけでなく人間の言葉もわかる。
日和は指示を聞くと、私を乗せて飛び立った。
燈は元々飛べるため、私たちの横に並んで飛ぶ。
燈「間に合うでしょうか…」
「わからないわ…
でも、もしかしたらまだ無事かも知れない」
燈「どういうことですか?」
「麻弥の霊力が急激に上がっていってるの。
私は呪術で妖力を抑えているから……おそらく蔵馬の近くにいたのが原因ね。
だとすると、八つ手は麻弥の霊力がもっと上がるのを待っているかも知れないわ。
もし八つ手が麻弥を喰べてしまったら……」
燈「八つ手はさらに強くなる」
「そう。それに、どのみち麻弥を助けなくちゃならない。
助けられなかったらきっとヤツは麻弥を直ぐに喰べてしまうわ。
どちらにしろ今夜がラストチャンスよ。殺す気で戦いなさい」
燈「了解」
―――麻弥……どうか無事でいて!!