第34章 不吉の予兆
~時音side~
ここは…どこ?
気付けば私は、真っ暗な空間に佇んでいた。
何もない暗闇の中を歩き回る。
夢?
そうとしか考えられない。
だけど、これが夢だと気づける程に、私の意識ははっきりしている。
「…?」
前からポツリと何かが見える。
人?
いや…でも、あれは…。
確かに形は人。
でも、纏っているオーラが物凄く不気味。
「……だ、誰?」
冷たい汗が流れる。
「っ!?」
前から、私の方へ手が伸びてきた。
逃げようとしても体が動かない。
……何コレ…いや。
手は、どんどんどんどん私の方へゆっくとりと伸びてくる。
……ヤダ。蔵馬…!
それは、次第に私の眼前まで…。
いやぁぁぁぁ!
「ハッ!!」
目に写ったのは私の部屋の天井。
「ハァ…ハァ…」
呼吸も荒い。心臓がバクバクと音を鳴らしている。
ゆっくりと体を起こし、息を整える。
「…今のは、一体」
コンコン。
「っ!?」
ノックの音がした。中へ入ってきたのは燈。
ノックの音にまで体が反応する程、怖かったみたい。
燈「姫君、朝食の支度がっ…!!姫君?」
驚いた顔で、私の方へ駆け寄る。
燈「顔色が物凄く悪いですよ?具合でも悪いのですか?」
燈がびっくりする程、私の顔色は悪いのか…。
「えぇ、大丈夫。少し悪い夢を見ただけだから」
そう言ったものの、正直全然大丈夫じゃない。
燈「あっしには全然大丈夫そうに見えやせん。ちゃんと話して頂きやせんか?」
燈には敵わないか。