第32章 儀式
皆がおばあちゃんの家に入って行くのを見て、私もついて行こうとした。
すると…
蔵馬「時音」
「ん?」
蔵馬に呼ばれ、彼の方へ振り返る。
蔵馬「少し、話しを…」
「え…」
灯夜「時音ーー!入らないの?」
「え…あ、うん。後で行くよ!!」
灯夜「わかったー!」
私の返事を聞いて、灯夜は中へ入って行った。
訪れる静寂。
私の耳に入ってくるのは、風の音と、それに揺らされる木々の音だけ。
蔵馬は黙ったまま…
さっき振り向いた時、瞳が少し…
やっぱり、怒ってるのかな…?
このまま立ち尽くしていても埒があかない…
「ねェ、蔵馬。もしかして…怒ってる…?」
蔵馬「………すごくね」
「…っ!!」
やっぱり…
小さい頃からそうだもん、蔵馬は怒ると口数が減る…
そういうところ、変わってないな…
って、そんなこと思ってる場合じゃない…
「……どうして、怒ってるの?」
蔵馬「………わからないの?」
「っ………わ、わかりません」
蔵馬「………どうして、儀式があること。言ってくれなかったの?」
「……え、あ~そのことね…」
蔵馬「……答えてくれる、時音」
「え、あ…は、はい」
うぅ~~怖いよぉ~~
顔を見ることもできない…
「えっと…その、言い忘れていたっていうのもあるというか…
言う必要ないかな~?っていう…その………ご、ごめんなさい!!」
蔵馬「………時音」
「は、はい…」
蔵馬「オレがその事燈に聞いたときからどれだけ心配したかわかる?
さっきだって、実の父親に殺されかけたんだぞ?
キミの体調が悪くなることも燈から全て聞いたよ。
それなのに自分から何も言ってこないから、オレは力不足なのか、と何度も思ったよ。
頼むから何かあるならオレにちゃんと話してくれ。
キミは自分勝手なことが大すぎる」
「………」
蔵馬「わかったんなら返事して?」
「は…は、はい…」