第32章 儀式
灯夜「僕も…僕にとっても時音は大切な親友です。
時音を殺そうとするなら、僕は絶対に守ります。
あなたに時音の人生を否定する権利はありません。
時音は優しくて、いつも助けてくれて守ってくれた。だから、今度は僕が時音を守ります」
灯夜…
皆…皆、私のことそんな風に思っていてくれたの?
大切にしてくれていることに、私の心は嬉しすぎて胸が張り裂けそうになった。
蔵馬「貴様に、時音の父親を名乗る資格はない。
彼女を娘と思わず恨み続けるのなら、今すぐここから立ち去れ。
そして…二度と時音の前に現れるな」
「蔵馬…」
久し振りに見た…蔵馬がここまで怒っている姿。
珀時「………妖狐蔵馬。お前に一つだけ問う。
お前はコイツを守れるのか」
「え……うわっ!!」
いきなり蔵馬の腕が肩に回り、引き寄せられ、私は蔵馬の腕の中に収まる形になった。
蔵馬「守ってみせるさ。時音に被害を加えるヤツには、容赦しない。
何があろうと殺す」
珀時「…………。」
私たちの間に暫しの沈黙が流れた。
それを破ったのは、ここに来て初めて話す燈だった。
燈「これで6対1。文句ありますか?
なければすみやかに魔界にお引き取り願いたく」
珀時「…………」
お父様は黙って来た方の道を歩いていく。
もしかして…帰るの?
お父様は姿を消す前に、こう言った。
珀時「コイツを守れるものなら守ってみろ。
それが出来なければ、コイツは死ぬ運命だ」
それだけ言い残すと、お父様は赤い光に包まれ、魔界へ帰って行った。