第32章 儀式
~時音side~
今日は儀式の日。
澄を目覚めさせるための…
日が沈み始めた頃、既に私はおばあちゃんのお寺にいた。
隣には灯夜もいる。
灯夜「時音、体調の方は大丈夫そう?」
「えぇ。問題ないわ」
だけど内心緊張している。
一体どんな式神なのか、どんな力を持った妖狐なのか…
幻海「二人とも、コエンマが来たよ」
おばあちゃんの声に私は顔を上げる。
目に入ったのは、大人の雰囲気を漂わすコエンマ様がいた。
霊界では、言っちゃ悪いけど、子供と思わせるような容姿をしているコエンマ様。
人間界では八頭身でやってくる。
女の子にキャーキャー言われたいのか、注目を浴びたいのか、はたまたカッコつけたいだけなのか知らないけど…
やっぱり…
「コエンマ様」
コエンマ「なんだ?」
「いくらなんでもその格好に、おしゃぶりは無理があると思いますけど…」
コエンマ「仕方ないだろ、おしゃぶりはワシの…」
「チャームポイントですか?」
コエンマ「うむ…って違う!!」
「じゃあ何ですか?」
コエンマ「ワシの必需品なのだ」
必需品…?
ってことは…
「要するに、霊界にいる自分の姿は赤ちゃんと認めていると…」
コエンマ「だから何でそうなる!?」
「いや…何でって言われても
まず、その格好。周りから変人扱いされるだけですよ。
いい歳こいておしゃぶり?って周りから冷やかされるだけだと思いますけど…」
灯夜「時音!その辺に…コエンマ様刺さってるから…」
「え?何が?」
灯夜「時音の言葉に…」
「どうして?」
灯夜「いや、どうしてって言われても…(時音が毒舌だから…)」