第31章 師匠と弟子
~時音side~
ぼたんと別れた私は、早速電車に乗っておばあちゃんのいるお寺へ向かった。
おばあちゃんは山奥の大きなお寺で一人暮らし。
だから私もたまにおばあちゃんのお寺へ行っている。
まぁ、他にまだ理由は色々あるけど。
長い石階段を登って、やっとおばあちゃんのお寺が見えてきた。
「おばあちゃーん」
幻海「時音、こっちだよ」
「あ、おばあちゃん」
霊と書かれた帽子を被り、茶の間でお茶をすすっている小柄なおばあちゃん。
やってる事は普通のおばあちゃんと変わらないけど、幻海おばあちゃんは闘えるのだから。
60歳越えてるのに、流石だよ…
「おばあちゃん聞いたよ?弟子とるんだって?」
幻海「そのことかい。あぁ、とるよ。あたしも長くないんでね」
と、またズズズとお茶をすするおばあちゃん。
「もぅ、縁起の悪いこと言わないでよ。おばあちゃんならまだまだ長生きできるわよ」
幻海「だったらわざわざ今弟子などとらんよ」
「おばあちゃん…」
でも私は…そんなこと言われるとやっぱり寂しい。
幻海「…そんな人のこと考えてる暇があるなら、お前は明日のこと考えな」
「………。」
確かに、おばあちゃんの言う通り…
明日の儀式のために、妖力は万全の状態にしておかなければならない。
明日、玉藻が造ったといわれる式神の一人、澄を目覚めさせる儀式を行わなければならない。
もう一体は燈。
彼女の力もいるみたいで…
明日はココに、お父様とお母様が来る。
コエンマ様と灯夜も手伝いに来てくれるそうで…
幻海「お前は今が一番大事な時期なんだ。あたしの心配するより、自分の心配しな」
「うん。ありがとう、おばあちゃん」
やっぱりおばあちゃんは、私の大切な師匠で、大切なおばあちゃんだ…。