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時の贈り物*[幽遊白書]*

第27章 タイムリミット


~時音side~

蔵馬!!

病院へ全力疾走する私。
その証拠に息も荒く呼吸を繰り返し、体力もほとんどない。
立ち止まれば足から崩れ落ちそうな程、力が上手く入らない。

それでも蔵馬の所へ駆けつけたい一心で、足が自然と動いている。
立ち止まれない
立ち止まることが出来ない
それは、私が蔵馬に対する想いが強いという証。

ーーーお願い!!間に合ってっ!

そう思った直後、

「!!」

まばゆい光が、天に昇るように一直線に輝いた。

「あれは、暗黒鏡の……」

そんな…じゃあ、まさか……

「蔵馬!!」


***


やっと病院に着いた私は、急いで中へ入ろうとした。

その時、上からぼたんが私を呼ぶ声がした。

ぼたん「おーい、お時ちゃーん!!」

「あ、ぼたん!」

ぼたんは私の目の前まで来ると、そのままオールから降りた。

ぼたん「暗黒鏡を取り戻せたよ!」

「ほ、ホントに…?
じゃあ、蔵馬は!?おば様はどうなったの!?」

ぼたん「二人共無事だよ
ちゃんと蔵馬も生きてるし、お母さんも無事峠をこえたみたいだよ」

「………良かった」

ぼたんの話を聞いて、今までの身体の力が一瞬で抜け、そのまま地べたへ座り込んだ。

ぼたん「ちょいと、大丈夫かい?」

心配そうに私の方へ駆けより背中をさすってくれるぼたん。
私も安心しきったせいか、一気に疲れた。

「大丈夫…でも、どうして蔵馬は無事だったの?
願いを叶えるにはその者の命を捧げなくちゃならないんでしょ?」

ぼたん「幽助がね、無理する蔵馬を見て自分の命を半分別けようと身を投げ出したのさ
お陰で二人共無事だったし、暗黒鏡は命無しでも願いを叶えてくれたんだわさ」

「………何それ」

ぼたん「お時ちゃん?」

勝手すぎるよ…
ホント、バカ…

「……バカ秀一」

投げ捨てる様に呟いた後、家へ帰るため方向転換する。
そんな私を不思議の思ったであろうぼたんは、私の横へ並ぶ。勿論オールに乗り宙に浮きながら

ぼたん「お時ちゃん、蔵馬の所行かないのかい??」

「…知らない、あんなヤツ」

知るもんですか…
人を寝かせて真実を置き手紙で話して…
勝手に死のうとして…
私を置いて行こうとして…

「そんなヤツの相手、してられるか!!」

私はそのまま蔵馬を放って、家に帰った。

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