第25章 存在理由
彼は優しかった
冷酷非道の盗賊妖怪といわれていると思えない程に…
だから好きになるのに、そう時間は掛からなかった
一度離れ離れになったこともあった
けど私は大人になって、彼の元へ帰ってきた
蔵馬も、『大きくなったな』と言って褒めてくれた
嬉しかった
それから私たちの仲はどんどん深まり…
やっと、恋人になれたの
でも、私は不安だった…
私は玉藻の生まれ変わり
だから拒絶されそうで…私が話してしまうと、自分が玉藻と認めてしまうようで…
中々言えなかった
けど、燈が代わりに話してくれていたみたいで、それを蔵馬から聞いた時すごく怖かったけど…
彼は受け止めてくれた
私は私だと…
それ以外何もないし、それ以上でも以下でもない、と
私の全てを受け止めて、愛してくれることが涙が出るほど嬉しかった
蔵馬は、私の位を目当てに言い寄って来る男の人たちと違った
私自身をちゃんと見てくれていて…
だから私も、蔵馬に何があっても一生愛すると誓った
愛せる自信があったから
だから、いま悩みを抱えている蔵馬を…ただ信じて愛してあげよう
そうして見守ってあげよう
そう、思ったの