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時の贈り物*[幽遊白書]*

第25章 存在理由


~時音side~


私の秘密。
あまり知られてはならない、秘密がある

”白面金毛の妖狐、伝説の九尾の狐・玉藻”

それが、私の中(心)にいる…もう一人の知らない私の姿。

玉藻は日本三大悪妖怪の一つとして恐れられていた妖怪。
魔界でだけでなく、人間界で数々の災いを起こした。
おそらく玉藻は魔界の最上級妖怪よりも、強い。

私は、玉藻の生まれ変わりと言われている。

玉藻と同じ白面金毛の九尾狐は私だけ。
玉藻が使っているといわれる黄金の扇子を使い熟せるのは私だけ。

この二つの理由だけでも決定的なことらしい。

だから私は、産まれてすぐ処分されそうになった。
もしかしたら玉藻の能力が覚醒して、また災いをもたらすかもしれないと…

けれど、お母様は必死になって私を守ってくれた。
だから私は”いま(未来)”がある。生きていられる。

けれど成長していくにつれ、周りからの目付きが変わっていく。

期待
不安
嫌悪
哀れみ

様々な重圧が襲い掛かる中、生きていく事を何度も辞めようと苦しむ事もあった。
幼いながらも自分の立場がどういうものなのか、理解していたから


だから私は夜、家出をした。
ただ自由になりたかった
周りの事も気にせず、ただ自然の生活を味わいたかった

城を出て、村を駆け抜け、森の中をただ一直線に駆けて行った。


***


何時間走っただろう……

段々体力がなくなっていく…
息があがり、足から崩れ倒れた。

人間の年齢で言えば、当時まだ十歳だった私。
魔界の空は暗く、年中雷が鳴り響く。
風がゴウッと唸り声を上げ、私の心の中は一瞬にして恐怖へ変わった。

身体は冷え、意識が朦朧としている

そんな私を拾ったのは、長い銀髪に琥珀色の瞳の冷たい目をしている、狐の耳と一本の尻尾がある白魔装束を着た男

それが…

蔵馬との出会いだった…

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