第22章 初の指令
森林のあちらこちらを駆け巡り、蔵馬を探す。
けどそれらしき人影は見つからない。
どこかしら……
確かにここら辺にいるはずだけど。
幽助と剛鬼が戦っていた場所には、確かに蔵馬の妖気を少しだけ感じた。
どこ!どこにいるの!?
「……それとも、もう家に帰ったのかしら…」
だったら直接家に行った方が早いし、いなければ待っていればいい。
「……秀一の家、行こ」
諦めて家に戻ろうと方向転換した時、
「!!」
近くに蔵馬の妖気を感じた。
まだこの辺にいる!!
私は妖気の強い方、強い方へと走っていく。
そして、
いた……
赤色の盟王の制服に、ハネの強いロングヘアーになっている。
私の大好きな人の後ろ姿。
髪、伸ばしたんだ……
きっと身動きが取れなくなったとき、髪でも植物を操るため。
私は足を一歩前へ踏み出し、さらに一歩、一歩。
踏み出す度に、歩く速度が速くなっていく。
いつの間にか歩きから小走りへ。小走りへから走っていた。
そのまま蔵馬に近づき、制服の裾をキュッと掴みながら、彼の名を呼んだ。
「蔵馬!!」