第22章 初の指令
~時音side~
プルルル……
その夜、家に一本の電話が掛かってきた。
「はい、土御門です」
『あ、時音。僕だけど』
「灯夜。どうしたの?」
『今日のぼたんの用事って、何だったの?』
心配してわざわざ電話掛けてきてくれたんだ。
「あぁ~実は霊界探偵ができたんだけど」
『そうなの!?』
「うん。それでね、私ぼたんと一緒に探偵助手をすることになったの」
『そうなんだ…って、えぇ!?それホント!?』
「うん。ぼたんは指令を伝える役、私は実戦派だって」
『それってドジなぼたんのフォロー役って意味の方が大きい気がする』
「うん、私も同じこと考えてた」
やっぱりそう思うよね…
まぁぼたんのドジはある意味すごいけど。
今までぼたんがドジして迷惑掛けさせられた映像が、頭の中に次々と流れてくる。
『で、新しい霊界探偵ってどんなコ?』
「ちょっと待って……」
えんま帳から幽助のことを書き写されたメモがあるハズ……
「えっと…浦飯幽助 14歳。
性格粗野で乱暴、短気で無鉄砲。その上手クセが悪いし頭も悪い。カツアゲ・万引き・ケンカ・喫煙・飲酒・賭博・補導の常習犯等々……」
『………それって一言で言ったら不良…だよね?」
「えぇ」
『そんなコが霊界探偵になって大丈夫なの?』
流石、私と考えてることと台詞が同じ。
「私も最初は疑ってたんだけどね、会ったら意外と根は良いコだったの。
まぁやってることは不良だけど…でも幽助は車に跳ねられそうになった子供を助けて、一度死んじゃったんですって」
『じゃあ、霊界によって生き返ったってことだよね?』
「えぇ。霊界にとって幽助の死は予定外だったらしいの。
まさか幽助が子供を捨て身で助けるなんて、思いもよらなかったのね。
で、天国も地獄も行き場がなく、生き返ることになったの」
『成る程ね。そういうことだったんだ…。
でも時音、助手なんてして大丈夫?』
「まぁね…。でもぼたん一人じゃ心配だし、幽助だって私程霊力が大きいわけでもないからね。
なんとかやってみる」
『そっか…。でも気をつけてね』
「うん、ありがとう。それじゃあ、おやすみなさい」
一言挨拶をして、受話器を置いた。
でも、何故だか嫌な予感がする…
明日にでも指令が出たりして…