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庭球 短編小説 R18

第1章 【R18】非行少女(不二周助)


「いらっしゃいませー」

「っ…」



あたしはいま、ドラッグストアで“万引き”をした。店を出て、すこし離れたところから公園まで猛ダッシュ。

ほんとはいけない行為だと頭では分かってる。しかし、成功したときの快感や、バレるかもしれないスリル感を味わうと、やめられない。


「はぁ、はぁ…っ」


最初に盗んだのはたしか文房具だった気がする。それがいまでは“化粧品”。徐々にエスカレートする行為。

家では親の言うことを聞き、学校でも優等生でいるあたしは、日頃のストレスを“万引き”で発散する日々。


「いい加減…やめなくちゃ…。」


公園のブランコに座って、息を整える。


「あれ、さん」

「っ…不二、くん」


突然後ろから声を掛けられ振り向くと、そこには同じクラスの不二周助くんが立っていた。

バレてない、よね?
大丈夫、だって走ってきたもん。

そう心を落ち着かせて、平然を保つ。


「さんも寄り道とかするんだ」

「う、うん…ちょっとほしいものがあって」

「へぇ、その欲しいものってさっきの“化粧品”とか?」

「え?」


ドクンーーー

心臓の音が聞こえた。


「クスクス、まさかさんがあんなことしてるなんてね」

「あ…あの、なんのことかしら」

「これ、さんだよね」


そう言った不二くんの手には携帯が握られており、あたしが商品をかばんに入れてる決定的瞬間が撮られていた。


「ご、ごめんなさい…!あたしやめられなくて…っ」

「クスクス、大丈夫。僕は誰にも言わないから」

「えっ誰にも、言わない?」

「うん、たださんには僕のお願い聞いてもらおうかなって思ってるんだけど」


ーーーいいよね?


悪魔のような優しい声と瞳に、あたしは断ることができなかった。



「それじゃあ、一緒に“あそこ”までついて来てよ」

「あ、あそこって…」



不二くんが指差したところは公園の男子トイレ…。いまは夕方だし、人はいない。
普通なら絶対行かないけれど、弱味を握られているし、なによりついていくだけなら…とあたしは足を動かした。


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