第1章 「コード:00の存在」
來美は、人見の視線から外し、狛皓を見る。その男は、完全に腰が抜け、その場に座り込んでいた。來美は、その男の目の前で、座り込み見る。
「…………せめて、痛みがない方法で消してあげる。……………さようなら。」
來美は、そんな風に優しく言い、狛皓は光に包まれ消えていった。これで、今日の仕事は終わった、と來美は思い立って人見を見る。
「…龍河って、本当は優しい子じゃないか?」
「………気のせいです。私は、優しくなどないです。」
來美は、吐き捨てるように言い歩き始めた。人見もその後を、追いかけるように歩いてくる。
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「目的の男を殺しました。」
來美は、藤原に報告をするとニッコリと笑う。藤原は、頬杖を付きながら言う。
「ご苦労だ。次も期待するよ。」
來美は、頭を下げこの部屋を出た。この部屋に残っているのは、人見と藤原だけとなった。藤原は、人見に向かって言う。
「どうかな?來美君の異能の力は?」
「流石に、時間まで動かせるなんて、正直驚きましたよ。」
人見は、來美が出て行った扉を見ながら言った。藤原は、そうだろと言った。そして………。
「まぁ、これからあの子の面倒は任せたよ?何よりこれから、もっと大変になっていくからね。」
藤原は、そう言った。人見は、藤原を見て言う。
「彼女の約束は、どうするのですか?」
「その約束は、いずれもうすぐ無くなる。」
藤原は、黒い笑みを浮かべていた。その事に、來美は知るよしもなかった。