第4章 「最後に……。」
その瞬間から來美の瞳から大量の涙が流れ始める。嗚咽の声を出しながらひたすら、耐える。
來美にとって、人見は恩人でもある。人見と出会わなければ、今頃1人で黙々と『エデン』の命令で、殺していた。
孤独感を感じていただろう。孤独に耐えきれず、やがては壊れていくだろうという恐ろしい事まで、來美は考えていた。
しかし、その考えを打ち破ったのは紛れもない今、目の前にいる人見だ。人見がいなければ、こうして遊騎にも抱き締められていなかっただろう。
來美は、ひたすら心の中で人見に感謝をしていた。そして、謝罪の言葉を心の中で呟いていた。救えなくてごめん…と……。
「大丈夫か?來美……。」
「平気、ありがとう…。遊騎……。」
そっと來美は、遊騎から離れ人見に方を向く。そして、また人見の頬を優しく撫でて、優しい目で來美は人見を見る。
「人見………安らかに眠って……。」
來美がそんな事を言うと、人見の身体は光…蛍のように少しずつ一粒の玉へと変えていく。そして、少しずつ人見の身体は消え、空へと飛び立つ。
その時だった。來美の脳裏で、人見の声が聞こえてきた。
──ありがとう、來美。皆の事は、お前に任せた。大変だけど、面倒を見てくれ。お前に出逢えて良かったよ。じゃあな…。