第3章 「新たな仲間」
「ゆ…………う、き……。」
「大丈夫や。絶対、助けたる。」
遊騎は、來美に向かって微笑んでいたのだ。そして、視線を人見に戻す時は鋭い瞳になる。だが、人見の前には雪比奈が立ちはだかる。雪比奈は、空中に氷の刃を作り出し遊騎に攻撃をする。遊騎の口から音の異能が発動し氷の刃を粉砕する。
「さて、今の内に退散するか。」
人見がそんな事を言い出し動き始める。來美は、麻痺している身体の為何も出来ない。しかし、その考えを裏返すかのように光の剣が空中に出現し、來美と人見の間を斬り掛かる。人見は、咄嗟に來美を放して距離をおく。地面に転がる來美。立とうにも立てない。人見は、僅かに笑っていた。
「素晴らしいね、來美。やはり、脳にも電撃を送っておくべきだったね。それか、気絶させておくべきだ。」
「っ………。」
來美自身では、攻撃出来なくても意志が強ければ、空中に剣を出現させることは幾らでも出来る。しかし、人見が言ったとおりに脳まで麻痺らせてしまえば、もう手立てのしようがない。人見は、確実に一歩一歩來美に近づいていく。麻痺している來美は一歩も動けない。それでも足掻くように、光の剣を出現させ人見に攻撃をする。全て、電撃によって防がれてしまう。
「1番ッ!!來美に近付かせへんッ!!」
遊騎の音が人見に襲い掛かる。人見は、避けて距離をおく。そのまま、遊騎は來美に近付き抱き上げ離れる。
「…ゆう、き……。」
「よう、頑張ったな。」
遊騎は、來美に笑いかけると安心したのか、ゆっくりと瞳を閉じて遊騎の腕の中で眠る來美。遊騎も安心したのか僅かに笑みが零れるが、すぐに人見と雪比奈を睨み付ける。