第2章 「コードブレイカーの対立」
「ううん、何でもない。でも……遊騎はとても温かいよ。」
遊騎は、頬を緩ませて思わず微笑む。そして、ギュッと來美の手を握り締める。
その時、ゴホンとわざと咳払いをする人物がいた。
「…もう…いいか?2人共?」
声の主は、人見だった。來美と遊騎は慌ててお互いに手を放す。
「人見……?どうして、此処に居るの?」
來美は、慌てて人見に質問をする。人見は、椅子に座り言った。
「私が此処まで運んだ。そして…來美に言っておくよ。この出来事は…全て総理の仕業だ。」
はっきりとした口調だ。総理という言葉に黙る來美。そして、そうか…。と弱々しく答えるのだった。
來美は、一旦息を吐き出して人見に言った。
「……人見……色々ありがとう。貴方には、迷惑を掛けたね。」
「いや、私は別に構わないよ。意外に、楽しかったしな。それじゃあ……私はこれで失礼するよ。」
人見は、それだけを言ってバタンと扉を閉める。そのタイミングに、ギュッと來美に抱き付く遊騎。
「…どうしたの?遊騎?」
遊騎の行動に、?を浮かべる來美。
「…1番と喋っていて、ズルイなって、思っていただけや……。」
遊騎は、頬を少しだけ赤く染まり言う。しかし、今の表情は來美はわからない。來美は、抱き付く遊騎の頭を優しく撫でる。
「甘えん坊さんだね……。」
「甘えるのは、來美だけや…。」
來美は、クスと笑う。遊騎も、楽しそうな表情を浮かべる。暫く、2人の間に穏やかな空気が流れていた。