第2章 「コードブレイカーの対立」
だが、炎はこれで終わりではなかった。更に、後ろから襲い掛かる。
來美は、その本能に数秒遅れてから避ける。しかし、炎は來美のコートを巻き込む。
咄嗟の判断に、來美はコートを脱ぎ捨てる。その瞬間、遊騎の動きが止まる。
コートを脱ぎ捨てるとは、フードも取れてしまうことだ。つまり、來美の顔が見えてしまう。
いや、もう見えてしまったのだった。來美は、苦しげな表情をしながら遊騎を見る。
遊騎は、茫然としていた。
「う、嘘や………。なんで…………來美が………。」
完全に、言葉を失う遊騎。刻も、そうだった。泪や平家は、鋭い瞳で來美をみる。
そして、炎の異能を使う大神が姿を現す。來美の瞳には、悲しみが宿っていた。
震える声で、遊騎に言った。
「遊騎…………。ごめんね。でも、これが真実だよ………。私は………異能者だよ。」
大神は、皆よりも前に出て彼の左手には、炎が纏っていた。平家は、光の縄を持ち………泪は、影の鎌を構えていた。
それでも、來美は構えようとはしない。來美の口から流れる血は、さっきよりも酷くなっていった。
「っ……。私……には、時間……が………ない………。早く……………かえ、ら………ないと………。」
「貴方を帰らせるには、いかないのです。私達と共に、来て頂きます。」
はっきりとした口調で言う平家。やはり、警戒態勢は変わらない。
その時…………。
「そこまでだッ!」
停止の声が聞こえてきた。平家達や來美も驚いていた。声の主は、人見だった。
來美だけではなく平家達も驚いていた。
「エース、何故此処に?」
平家は、そんな風に言った。人見は、一度平家達の方を見て來美に近づく。その行動から泪は、声を張り上げる。