第10章 ～居場所～

こいつの与える易しさが怖い
オレの前から居なく為る事が怖い
怖い、怖い、怖い!!

オレは彼奴に、物を投げた

癇癪を起こしたオレは、部屋に来た彼奴に物を投げた

『何故お前は、オレに構う?!』

棚に置いてある、書物

『お前も母上と同じ様に、オレの前から居なく為るのだろ?!!』

丸まって居た、巻物

『オレが、醜い化物だと言って!!』

机の上の、紙の束

『お前もオレを、棄てるのだろ!!?』

墨の浸いた、筆

『もう沢山だ!!!』

硯

そしてオレは、其の場に泣き崩れた