第8章 ~小十郎vs幸村~
「・・・・・・どうすんだ、小十郎?」
政宗は、小十郎に抱き付いたまま話し掛けた。
打が、小十郎には政宗が云わんとする事は分かって居た。
打から、敢えて云わない。
「・・・此所にいろ、政宗・・・俺が、片付けて来るまで・・・」
其は、政宗も分かって居た。
打が、小十郎が殺らんとする事は分かって居た。
打から、敢えて聞かない。
「・・・あぁ。待ってる、小十郎。」
「・・・行ってくる、政宗。」
『己の半身が傍に居る』
其だけが、己の存在意義を否定されない
唯一の居場所打からー
上田城から馬を走らせた幸村は、山道の入り口に居た。
「・・・此所に・・・政宗殿が居るのか、佐助?」
「間違いないよ、真田の旦那。部下達の報告だと、少し中に入った所に山小屋がある。」
佐助は、幸村が乗って来た馬の手綱を木に括り付けながら答えた。
「・・・ウム!行くぞ、佐助ェ!」
「ハイハイ。誘導するから着いてきて来て、真田の旦那。」
そして彼等は、山道を歩き出した。