第8章 ~小十郎vs幸村~
暫く山道を歩いて居た幸村目掛けて、鋭い一閃が飛び出した。
打が、佐助の瞬時の判断で、幸村は回避した。
「・・・どうやら、嬉しくない出迎えが来た様だよ、真田の旦那・・・」
「・・・・・・片倉殿・・・」
佐助は、攻撃して来た方を見ながら呟いた。
其に幸村は、二槍を構えて、自分を攻撃した人物の名を呟いた。
「・・・俺と政宗の仲を切り裂くつもりか、真田・・・」
小十郎は、刀で幸村を指差しながら、殺気混じりに話し掛けた。
打が、幸村は其に怯む事なく話し出した。
「・・・片倉殿・・・政宗殿を返して頂きたい。」
「・・・返す・・・だと・・・?」
幸村の一言に、小十郎の表情が曇った。
打が、其でも幸村は、話を続けた。
「政宗殿は、某の意中の御方。打が、政宗殿がどんな理由で片倉殿と一緒に居るかは分からぬ。打が!某も漢で御座る!政宗殿を奪い返す事も意図わぬで御座る!!」
其に小十郎は、何も言わなかった。