Fake Lovers 【ヒロアカ 相澤 R18】
第1章 潜入捜査1日目
知らない男に指名されて酒を飲まされ、身体を触られるかもしれないという恐怖が、相澤の登場によって一気に吹き飛んだのだ。
「……よかった、か」
相澤はグラスを弄りながら、ぽつりと呟いた。
「? 何か言いました?」
「いや。……ただ、他の男に指名される前に俺が囲い込めて正解だったと思っただけだ」
「え……」
相澤のストレートな言葉にの顔が再び熱くなるが、彼は悪びれる風もなく淡々と続けた。
「お前、男性経験もロクにないだろ。そんな無防備な顔をして、その衣装でフロアに立ってたら、ろくなことにならないぞ」
「うぐっ……そ、それは……否定できませんけど……」
「……ったく。とりあえず、今日のところは俺が延長を重ねて指名し続けてやる。お前は俺の隣で、酒を注ぐフリでもしてろ」
「えっ、でも、それじゃ相澤さんのポケットマネーが……!」
「経費で落とす。警察とウチの事務所で折半させればいいから気にすんな」
相澤はそう言うと、グラスをの方へと少し差し出した。
「ほら、仕事だぞ、バニーちゃん。お代わりを頼む」
「……! もう、からかわないでください……!」
少し意地悪く微笑む相澤に、は恥ずかしさと安堵が混ざり合った複雑な気持ちになりながらも、ボトルを手に取った。
潜入捜査の緊張感はまだ消えていない。
しかし、すぐ隣にいる頼もしい(そして少し意地悪な)先輩ヒーローの存在が、の緊張を柔らかく解きほぐしていくのだった——。
◇
グラスの氷をカランと揺らしながら、相澤は注がれ足された手元のお酒をゆっくりと口に含んだ。
「……周囲の状況はどうだ?」
「……はい。今の所、奥のVIP席に怪しい動きは見えません。ただ……視線を感じます。この衣装、やっぱり露出が多すぎて……」
も渡されたドリンクを一口含み、乾杯して談笑する客とキャストのフリを装いながら、上目遣いで周囲へ警戒の目を光らせていた。
隣に相澤がいる安心感はあるものの、慣れない衣装と雰囲気に緊張はぬぐえない。
——その時だった。
「ッ……!?」
突如として店内の照明がさらに落とされ、フロア全体が妖しいピンク色の光に包まれた。