Fake Lovers 【ヒロアカ 相澤 R18】
第3章 相澤の受難
翌朝。
いつも通りの雄英高校の職員室に出勤し、自分のデスクに重い腰を下ろした相澤は、心底疲れ切ったように「ハァ……」と深い、深いため息を吐き出した。
目元のクマはいつもより二割増しで濃く、全身から窶れた雰囲気が溢れ出ている。
そこへ、テンションの高すぎる声と共に黄色い髪の男が顔を覗かせた。
「お〜う、相澤ぁ! お疲れさん! ……で、昨夜の潜入捜査はどうだったのよ? ……マジで例の店にちゃん居たのか!?」
ウキウキとした顔で絡んでくるプレゼント・マイクは周囲に聞こえないよう声量は抑えつつも、その瞳は好奇心で爛々と輝いていた。
相澤は力なく目を閉じ、肘を机についたまま短く答えた。
「……あぁ。居たよ」
「マジかよ!! 冗談だろと思ってたのに! で、どうしたんだ? 接触できたのか?」
「初日の出勤から閉店まで、ずっと指名して横に着かせた。他の客のところには一秒たりとも行かせてない」
「ぶっはwww お前マジか!! 独占欲丸出しじゃねぇか! どんだけ拗らせてんだよ〜!!」
マイクは腹を抱えて爆笑した。
相澤のその必死すぎる対応と、一晩で吹っ飛んだであろう金額を察して可笑しくてたまらないといった様子だ。
相澤はマイクを鋭く睨みつけたが、反論する気力すら残っていなかった。
そもそも昨日の夜は、雄英での仕事を終えた相澤が息抜きにと珍しくマイクを誘い二人で飲みに行っていた。
居酒屋でグラスを傾けていたところへ、塚内から一本の連絡が入ったのだ。
◇
『——一応イレイザーにも知らせておこうと思ってね。例の潜入捜査の件だが……進展が思わしくない為、今日から別のプロヒーローをキャスト側として潜入させることになった』
連絡を受けた相澤は胸の奥で嫌な予感がし、眉をひそめた。
『……誰です。顔が割れてないヤツで、あの店の採用基準をクリアできるヤツなんて、そうそう居ないでしょう』
『ああ。実力があってメディア露出がなく、何より店の条件に合致する人物は……マリオネットだよ。ダメ元で打診したが、快く引き受けてくれて助かったよ。すでに今日の今日で現場入りしている』
その名前を聞いた瞬間、相澤は手にしていたグラスを落としそうになり固まった。