【SPY×FAMILY】オペレーション・ヴェール【R指定】
第2章 OPERATION②
ロイドは頬を染めながら自分を見上げている、セリーナの琥珀色の瞳を見つめていた。
彼はターゲットに近づいて欺く時、どんなに相手の耳に心地よい言葉を吐いても、内心は冷えきるほど冷静だった。
どんな人物を演じようが、いつも一歩引いて自分を客観視している。
それが『黄昏』だった。
それがセリーナの前だとどうか。
心地よい声を聞き、柔らかな髪に指先で触れる。
指先が触れると白磁のような頬が赤く染まり、琥珀色の瞳がロイドを捉える。
ロイドは冷静であるべき内側に、じわりと熱がこもるのを感じた。
彼に女性の好みなどなかったが、もし一つ一つを言葉にするなら、セリーナの姿になるのではないか。
ロイドは指先でセリーナの顎先に触れながら、そんなことを思った。
「…今日も部屋を取っています」
ロイドの言葉にセリーナの体が強張った。
ターゲットに接近するために、必ずしも恋人を演じる必要はない。
だが、商談から彼女を外した以上、私的な関係を保つ方が都合がいい。
任務を遂行するうえで、それは合理的な判断だった。
そう結論づけながらも、ロイドは彼女の顎に添えた指を離さなかった。