【SPY×FAMILY】オペレーション・ヴェール【R指定】
第1章 OPERATION①
『東国に入るなりオペラ鑑賞なんて優雅だな?おい』
東国の首都バーリント。
石造りの建物が立ち並ぶ大通りには、街灯の柔らかな光が灯り、路面電車が車輪を軋ませながら走っていた。
その一角に、ひときわ壮麗なオペラ劇場がそびえ立っている。
大理石の柱と精巧な彫刻に彩られた劇場の正面には、次々と高級車が停まり、華やかなドレスや燕尾服に身を包んだ男女が降り立つ。
劇場の向かいには格式高いホテルが建ち、一階のバーからは琥珀色の明かりが漏れていた。
今夜もまた、華やかな社交界の夜が幕を開けようとしていた。
「オペレーションが始まるまでの小さな息抜きだ。文句言う割にいい席を取ってくれて助かったよ、フランキー」
小言が多いわりに良い仕事をしてくれる。
ロイドは受話器越しに軽く礼を言うと、通話を終えた。
仕立ての良い黒のタキシードに、純白のシャツ。
整えられた金色の髪は、劇場から漏れる明かりを受けて淡く輝いている。
任務が始まる前の、束の間の休息だった。
ロイドは時計を確認して、開演前のバルコニーに足を踏み入れた。