第16章 雄英文化祭編
照明が落ち、ステージを覆っていた暗闇に、爆豪の薄派の個性で、ステージに爆音が鳴り響き、演奏が始まる。
歓声が沸き上がる。
A組のライブが、始まった。
最初の音を奏でたのは、爆豪のドラムだった。
低く、力強い音が会場を揺らす。そこへ上鳴と常闇のギターが重なり、八百万のキーボードが華やかな旋律を添えていく。
そして。
おもちは、耳郎と目を合わせた。
「いくよ!」
耳郎の声に、彼女は小さく頷く。
二人は同時にギターをかき鳴らした。
弾けるような音が、会場いっぱいに広がっていく。
おもちの指先は、迷いなく弦の上を滑っていた。練習を始めた頃は慣れない指使いに苦戦していたとは思えないほど、今では音楽そのものを楽しむように演奏している。
隣では、耳郎がマイクに向かって歌声を響かせていた。
その歌声に寄り添うように、おもちも声を重ねる。
二人の歌声が交わり、楽器の音と一つになった瞬間、観客席から大きな歓声が上がった。
「うおおおおっ!!」
「すげぇ!めちゃくちゃかっこいい!」
「A組、最高じゃん!!」
舞台袖で見守っていたクラスメイトたちも、思わず顔を見合わせる。
「やばっ……!めちゃくちゃ盛り上がってる!」
芦戸が興奮した声を上げる。
「そりゃそうだろ!あんだけ練習したんだからな!」
切島も拳を握りしめた。
そして、演奏は中盤へと差しかかる。
耳郎のベースが一度、低く唸る。
ギターの音が鋭く響き、キーボードが旋律を引き上げていく。
その瞬間だった。
ドンッ!
爆豪のドラムが、会場の空気を震わせた。
一発目から、容赦のない迫力。
バスドラムの重低音が腹の底に響き、スネアが鋭く弾ける。シンバルが高らかに鳴り渡り、爆豪の両腕が目にも留まらぬ速さで動いた。
ただ音を刻んでいるのではない。
彼のドラムそのものが、観客を煽り、音楽を支配していた。
「うおおおおおっ!!」
歓声が一段と大きくなる。
爆豪は歯を食いしばり、鋭い眼差しでドラムを叩き続けた。
――聴かせてやる。
この音も、この演奏も。
自分たちが積み重ねてきたものを、全部。