第16章 雄英文化祭編
週末が終わり、月曜日がやってきた。
夕方の雄英高校の寮。その共有スペースでは、文化祭に向けた話し合いが続いていた。
「で、ライブの曲はどうする?」
上鳴がソファの背もたれに腕をかけながら、集まったクラスメイトたちを見回した。
文化祭の出し物は、ダンスパフォーマンスとライブを組み合わせたものに決まりつつある。耳郎が音楽を担当し、クラス全員でステージを作り上げるという方向性は固まったものの、肝心の演奏についてはまだ課題が残っていた。
「曲を決めるにしても、楽器の編成がね……」
耳郎は腕を組み、少し困ったように眉を寄せた。
「私はギターが中心だし、ドラムも練習してるけど、まだ人前で披露できるほどじゃない。ベースも必要だし、ボーカルも考えなきゃいけないし」
「なるほどなぁ。音楽って大変なんだな」
瀬呂が感心したように頷く。
「今さら何言ってんのよ。ライブやるって決めたんだから、ちゃんと考えなきゃ」
芦戸が呆れたように言うと、上鳴が何かを思い出したように顔を上げた。
「……あっ、そういえば!」
その視線が、少し離れたソファに座っていた爆豪へ向けられる。
「爆豪、昔、音楽教室通わされてたって言ってたよな?」
「……あ?」
爆豪が、鬱陶しそうに顔を上げた。
「確か、ガキの頃に母ちゃんに無理やり通わされたとかなんとか!」
「チッ……余計なこと覚えてんじゃねぇ」
爆豪は舌打ちし、再び漫画に目を落とそうとした。
しかし、そのやり取りを聞いていた耳郎が、ぴくりと反応した。
「ちょっと待って。爆豪、楽器できるの?」
「あ?」
「音楽教室に通ってたんでしょ?」
「昔の話だ」
「何を習ってたの?」
「……ドラムだの何だの、色々だ」
その返答に、クラスメイトたちがざわついた。
「えっ、ドラム!?」
「爆豪がドラム叩けるってこと!?」
「なんか意外!めっちゃ意外なんだけど!」
「うるせぇ!!」
爆豪の怒鳴り声が寮内に響く。