第13章 ヒーロー仮免試験
ギャングオルカの出現によって、救助演習の様相は一変していた。
負傷者の救助を続けなければならない一方で、ヴィラン役の集団が行く手を阻んでいる。受験生たちはそれぞれの判断で動き始めていたが、予想外の事態に連携が乱れ始めていた。
そんな中、緑谷は隣に立つおもちへと視線を向けた。
「おもちさん、お願いがあるんだ!」
「うん?」
「君の個性なら、ギャングオルカを止められるかもしれない! 僕が正面から攻撃して隙を作るから、その間に君の個性で動きを封じられないかな!?」
緑谷は、彼女の個性である『絶対支配』の可能性に賭けていた。
ただ強力な攻撃を繰り出すだけでは、ギャングオルカのような実力者を止めることは難しい。しかし、相手の行動そのものに干渉できる彼女の個性なら、突破口を開けるかもしれない。
おもちは一瞬だけ考え、すぐに頷いた。
「分かった。緑谷君が隙を作ってくれるなら、私が動きを制限する。ただ、相手の力が強いから、完全に押さえ込めるとは限らないよ」
「うん! それで十分だ!」
「俺も加わる」
二人の会話に割って入ったのは轟だった。
「俺が氷で動きを制限する。お前らは、その間に攻めろ」
「ありがとう、轟君!」
こうして、緑谷、おもち、轟の三人による即席のチームが結成された。
それぞれの個性を組み合わせ、ギャングオルカの動きを封じる。そして、その間にほかの受験生たちが救助活動を進められるようにする。
決して簡単な作戦ではない。
それでも、三人の目には迷いがなかった。