第11章 入れ寮 ハイツアライアンス
「力が強いからって、必要以上に怖がる理由はないでしょう?」
その言葉に、龍は満足げに目を細めた。
『ふむ。主は、ようやく我の価値を理解してきたようだな』
「……あなた、本当に一言多いわね」
「アハハハハ!」
芦戸がとうとう吹き出した。
その笑い声につられるように、浴場の空気が一気に和らぐ。
先ほどまで、戦場に現れた伝説のような存在を前に緊張していた女子たちも、今ではすっかり興味津々だった。
「ねえ、鱗ってどんな感触なんだろう……」
「触ってみたいけど、怒られたら怖いし……」
「大丈夫よ。ちゃんと本人に聞けばいいじゃない」
おもちが微笑むと、芦戸はおずおずと龍へ近づいた。
「あ、あの……触ってもいいですか?」
龍は彼女を一瞥し、しばらく黙っていた。
そして、ふん、と鼻を鳴らす。
『主の友人であれば、特別に許そう』
「やったあああ!」
芦戸が歓声を上げ、そっと黄金の鱗に指先を伸ばす。
「わあ……!つるつるしてる!しかも、あったかい!」
「えっ、私も触りたい!」
「順番、順番!」
女子たちが次々に集まってくる。
龍は最初こそ威厳を保とうとしていたものの、頭を撫でられ、背中をそっと触られ、次第に落ち着かない様子で尻尾を揺らし始めた。
『……主。人間というものは、随分と遠慮がないのだな』
「ふふっ。今さら気づいたの?」
『……次は、もう少し大きな姿で現れるべきか』
「やめて。余計に大騒ぎになるでしょう」
彼女は楽しそうに笑った。
その夜、大浴場にはいつも以上に賑やかな声が響き渡った。