第4章 雄英体育祭編
「一位、おめでとう」
彼女は、ゴールしたばかりの緑谷に声をかけた。
「まさか、あの破片を使って地雷を飛び越えるなんて。考えてもみなかったよ。すごいね。あの判断力と、実際にやってのける実行力」
「えっ……!」
緑谷は驚いたように目を瞬かせ、それから嬉しそうに笑った。
「う、うん! ありがとう!」
「次の競技も頑張ろうね」
「うん!」
二人が笑い合った、その瞬間――。
「――おい、デク!!」
「えっ!?」
背後から怒鳴り声が響いた。
「次こそぶっ潰してやる……クソナードが!!」
「か、かっちゃん!?」
爆豪がズカズカと近づいてくる。
その顔は、明らかに不機嫌だった。
「一位取ったからって調子乗ってんじゃねぇぞ!」
「乗ってないよ!」
「うるせぇ!!」
爆豪が緑谷の胸ぐらへ手を伸ばす。
「次は俺が――」
「どーどーどー!!」
ガシッ!
横から切島が爆豪を抱える。
「爆豪、落ち着け!」
「離せ、クソ髪野郎!!」
「まだ第一種目終わったばっかだぞ!」
「知るかァ!!」
「どーどー!」
上鳴まで反対側から腕を掴む。
「な、なにしてんの二人とも!?」
「馬だと思ってる!?」
「暴れ馬だろ、お前!」
「誰が馬だァァァ!!」
「どーどー!」
「だからその止め方やめろ!!」
彼女は目の前の光景を呆然と見つめた。
「放せェ!!」
「放したら緑谷に突っ込むだろ!」
「当然だァ!!」
「堂々と言うなよ!」
切島が必死に耐える。
爆豪はじたばたと暴れながら、ふと彼女へ視線を向けた。
「それよりテメェ!」
「私?」
「なんでデクなんか褒めてんだよ!!」
「……え?」
彼女は瞬きをした。
「一位だったから」
「それがムカつくんだよ!!」
「理不尽!」
上鳴が叫ぶ。
「一位を褒めただけだろ!」
「うるせぇ!」
爆豪がさらに暴れる。
「俺が一位になる!!」
「じゃあ、次で一位を取ればいいんじゃない?」
「……」
爆豪が止まった。
「……は?」
彼女は、何でもないことのように笑っている。