第1章 公安からの指令
春。
雄英高校。
全国から選ばれた、ヒーローを目指す者たちが集まる場所。
その校門の前に、一人の少女が立っていた。
長い髪。
整った顔立ち。
無駄のない立ち姿。
一見すれば、どこにでもいる新入生に見える。
けれど。
彼女は、普通の高校生ではなかった。
「……雄英高校、1年A組」
小さく呟く。
手元の書類には、雄英高校の入学許可証。
そして、その裏には公安から渡された別の資料があった。
――潜入任務。
目的。
雄英高校に在籍する有望なヒーロー候補の能力・性格・交友
関係の把握。
必要に応じて、敵勢力との接触経路を調査。
異常が確認された場合、公安へ報告。
彼女は資料を閉じた。
「……了解」
感情のない声。
彼女にとって、今日から始まる高校生活は――任務だった。