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雨の神様 【呪術廻戦(春夏秋冬代行者)】

第11章 霽雨


——そして、翌日の朝。

私はゆっくりと目を覚ました。けれど、瞼を開けた瞬間から、身体が鉛のように重くだるい。
ベッドから起き上がろうとするだけで酷い目眩がして、着物の袖から覗く指先は、まるで氷に触れているかのように芯まで冷えきってしまっていた。それなのに、身体の奥には、まるで高い湿度が一気に押し寄せてきたかのような、じっとりと蒸し蒸しとした不快な熱がこもっている。

はぁ……、っ、息が、苦しい……

肺の中に、重たい水分が満ちていくような息苦しさ。
昨日、皐月さんから告げられた『大幅な梅雨の時期の遅延』。そして、夏油さんが最後に心配してくれた言葉が頭をよぎる。
梅雨の時期を無理にずらして、行き場をなくした、梅雨の巡りを顕現する上で、欠かすことのできない “神通力” が、私の身体を内側から激しく蝕み始めていた。
私はなんとか冷たい身体を動かして、クローゼットへと手を伸ばした。
そこに大切に仕舞われていたのは、昨日、五条先生が、両手いっぱいに買い与えてくれた、あのたくさんの可愛いお洋服たち。

……これに、しようかな……

私は震える手で、淡い綺麗なワンピースを身にまとい、その上に柔らかなカーディガンをふわりと羽織った。
初めて着る、私にとっては未知の「洋服」という衣服。
鏡に映る自分の姿は、いつも着ていた、着物姿とはまるで違って、本当に普通の、どこにでもいるただの女の子のようだった。それが少しだけ嬉しくて、私は自分の胸の奥の苦しさを誤魔化すように、鏡の自分に向かってニコッと笑顔を作った。

大丈夫。みんなに、心配をかけちゃダメだ。

大好きなみんなを、私のせいで、不安にさせたりしたくないから。
私は精いっぱいの笑顔を張り付けたまま、部屋を出て、みんなの待つ教室へと向かった。
ガラッと教室のドアを開けると、そこにはもう、みんなが集まっていた。

「あ、おはよ。あれ?今日は洋服なんだね。すごく可愛い」

「しゃけ! ツナマヨ!」

「あー、そういえば昨日、悟と買い物に行ったんだって?すごく似合ってるぞ、雫」

憂太くんが優しく微笑みながら褒めてくれた。
パンダさんも棘さんも、口々に洋服姿をたくさん褒めてくれた。
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