第7章 夜雨
夜、約束の時間が近づき、私は隣の部屋の前に立った。
深く息を吸い込み、静かにドアをノックする。
『皐月さん。五月雨です。失礼します』
部屋に入ると、皐月さんはすでに今後の詳細なスケジュールが書かれた紙に目を通していた。
「今後の生活についての確認です。あなたの体調管理はすべて私の責任。もしあなたが少しでも熱を出したり、体調を崩してスケジュールが狂えば、私が四季庁の上の連中からどう責められるか、分かっていますね?」
『……はい。重々、承知しております』
「ならば結構。高専の連中が呑気に訓練に励もうが、あなたには関係のないことです。
彼らの真似事をして怪我でもされたら堪りません。用が済んだらさっさと部屋に戻り、静かに過ごすこと。分かりましたね」
彼女の言葉にあるのは、私への心配ではなかった。胸の奥に冷たいものが広がっていくのを感じながら、私は静かに視線を落とした。
『はい。……それでは、失礼いたします』
深く一礼し、逃げるように部屋を出て……自分の部屋のドアを閉めた瞬間、私はその場にへたり込んでしまった。