第6章 茂み雨
詰めていた緊張が解けて、私はホッと小さく息を吐き出した。だけどそれと同時に、出会ったばかりのみんなを巻き込んで、険悪な空気にさせてしまったことへの申し訳なさが込み上げてくる。
『あの……皆さん、すみません……。私のせいで、嫌な思いをさせてしまって……』
俯きながら私がそう謝ると、すぐにみんなが心配そうに顔を覗き込んできた。
「何言ってんだよ、雫が謝ることじゃないだろ。
悪いのはあいつのあの態度だ」
真希さんが腕を組みながら、ぶっきらぼうだけど真っ直ぐに私の言葉を否定してくれる。
パンダさんも「そうだぞ! お前は何も悪くない」と胸を叩き、棘さんも「おかか、おかか!」と激しく首を横に振ってくれた。
「……五月雨さん、大丈夫……?」
すると、憂太さんがそっと私の顔を覗き込んできた。その瞳は本当に私を心配していて、胸がぎゅっとなるほど優しい。
「あの人、あんな冷たい言い方しなくてもいいのに。
……夜、一人で行くの、本当に大丈夫? もし怖かったら、僕、部屋の前までついて行こうか?」
嘘偽りのない、心からの心配。
私のために怒り、私のために心を痛めてくれる彼らの優しさに、目の奥がじわりと熱くなる。
やっぱり、ここに来て本当によかった。
どれだけ皐月さんの目が冷たくても、ここなら私は、もう一人で寂しく怯える必要なんてないのだから。
——茜色の空が窓から差し込む廊下で、私は、みんなの大きな優しさと、憂太さんのくれた温もりに包まれた。